一人でも加入できる労働組合から団体交渉を求められました。どのように対応すればよいのでしょうか?
真摯に、しかし毅然とした態度で対応して下さい
最近、退職したかどうかに関わりなく、また、退職理由が解雇か自己都合かに関わりなく、一人でも加入できる労働組合(ユニオン)に加入され、その労働組合から会社へ団体交渉を求めてこられるケースが急増しています。これらの労働組合から申し込まれる団体交渉で求められることは、労働環境の改善等ではなく金銭の要求であることが殆どです。

もし、サービス残業など違法行為をしていらっしゃったのであれば、その部分は支払義務が発生しますので、それについてはお支払いいただくしかありません。
賃金に関しては最大2年前まで遡って支払義務があることになります。場合によっては相当な高額となる可能性があります。この場合、本来は全額支払わなければならないことは認めていただかざるを得ませんが、経営状況から全額の支払が無理である場合は、真摯に丁寧に御対応いただき、金額交渉をしていただくことになります。但し、相手がそれを受け入れるかどうかは交渉次第です。

しかし、労働組合の要求内容は必ずしも正しいわけではありません。過剰な要求をしている事もありますので、その部分は毅然と御対応いただく必要があります。

そのためにも、日頃から勤務状況の把握と記録を残すことは必ずなさって下さい。タイムカードや日報等で労働時間を把握することはもちろんですが、業務によってはそれだけでは正確ではないこともありますので、工夫していただく必要があるかもしれません。
また、就業規則に違反する行為があった時は、小さな事であっても、例えば始末書を取っておく等の方法で、書面でその事実を残しておくようになさって下さい。そのためにも、就業規則の作成義務のない規模の企業であっても、他人を雇うのであれば就業規則を作成されることをお勧めします。
残念ながら、「気持で」とか「従業員のためを思ってしてあげた」とかは通用しない時代になっています。日頃の労務管理が適切であるかどうかで労働組合との対応の仕方も変わってきます。面倒な事かもしれませんが、トラブルを起こさないためにも日頃の積み重ねを大切になさって下さい。

間違っても、団体交渉の場で逆上したり不適切な発言をなさったりはなさらないよう、十分に御注意下さい。


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2011.8.14


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