会社が行った人事評価と本人の評価が違う場合は本人の評価に合わせないといけないのでしょうか?
会社の評価が社会通念上著しく不合理ではない限り、会社の評価権限の濫用とはならず、会社の評価で良い事となります
人事評価・業績評価など、評価というものは人が人について行うものであり、数式のように誰が行っても同じ結果となるような完全なものではありません。そのため、誰にとっても納得できる結果を出すということは大変困難であり、評価をする側、される側で意見が異なる事も生じる可能性があります。
しかし、一方で完全な年功序列制でない限り給与額や賞与額を決定するのに評価をする必要があり、避けて通ることはできません。できる限り、適正・妥当な評価を行い、そのために客観的な基準をどのように設定するのか、等の工夫が必要となります。

人事評価・業績評価は、会社の経営のために利益を正しく分配することが目的ですので、基本的には会社の判断が尊重されてしかるべきです。しかし、会社が行った評価(基準や方法、結果)が社会通念上著しく不合理である場合は、会社の評価権限の濫用と判断され、その評価は無効となります。
もしも、不満を持つ従業員と裁判(訴訟)となり会社が敗訴した場合は、その会社の評価基準・評価方法は間違えているということとなり、他の従業員との関係も好ましくないこととなる可能性があります。他の従業員まで裁判を起こすということにならないまでも、士気の低下を招くこととなるでしょう。
評価基準・評価方法・評価結果が社会通念上著しく不合理であると判断されないような内容となるよう、十分な注意を払わなければなりません。間違っても恣意的な評価であると判断されるような事はあってはなりません。

従業員が評価結果に不満があった場合、無碍に従業員の意見を否定することは好ましくありません。その相違点について、お互いに十分に話あって、納得を得る必要があります。
絶対的な評価が難しい以上は、トラブルにならない対策をお考えいただく事が重要となるでしょう。





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2011.11.18


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