弊社は冬の賞与の支給日を12月20日としています。12月10日に解雇した者にも賞与を支払わないといけないでしょうか?
賞与の支給について、支給日に在籍している者を要件として定めている場合は、支払わなくても良い事となります
賞与は、賃金の後払い、功労報償、成果分配などの性格を有しているとされていますが、労働基準法としての扱いは、「定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額が予め確定されていないもののこと」とされています。そのため、通常の給与(賃金)とは異なり、必ず支給しなければならないものではありません。その対象者を含め支給に関しては各企業で自由に定めても良いものとなります。
極端に言えば賞与の支給は無しとしても良いのですが、支給するのであれば就業規則等で一定の規定を設けるべきでしょう。

もし、就業規則等で賞与支給の対象者を「支給日に在籍する者に限る」「支給日に在籍しない者には支給しない」等と規定している場合は、支給日に在籍する者が支給の条件であり、その条件を満たさない者には支給しなくても労働基準法には違反しないこととなります。
労働基準法で定められていない事に関しては、就業規則の規定によって扱いが変わりますので、賞与に関することだけではなく就業規則の内容には十分な検討が必要です。

就業規則に賞与の支給要件として支給日に在籍することが規定されていれば、その理由が解雇によるものであっても賞与の支給日に在籍していないのであれば、支給要件を満たしていない事になりますので、賞与を支給する必要はありません。但し、賞与の支給をしない事を目的として解雇した場合は支給しなければならなくなる可能性もありますので、そのような解雇はするべきではありません。

尚、解雇理由が会社都合(リストラなど)の場合は、一定の配慮(勤務期間に応じた賞与を支給するなど)をされた方が望ましいでしょう。




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2011.8.15


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