整理解雇に先だって行うべき回避措置はどのようなものがありますか?
画一的に決まっているわけではありませんが、一定の措置が考えられます
整理解雇の四要件の中に、「解雇回避努力義務」という要件があります(四要件については、「整理解雇(リストラ)ができるのは、どういう場合でしょうか?」を御確認下さい)。
この解雇回避努力義務としては、以下の措置を検討する必要があると思われます。

1. 労働時間の短縮(時間外労働の削減・ワークシェアリング)
2. 一定額の賃金カット
3. 非正規労働者(パート・アルバイト・派遣等)の削減
4. 新規採用(新卒採用・中途採用)、再雇用の削減
5. 配置転換・出向(従業員に対する再教育)
6. 一時帰休
7. 希望退職者の募集

しかし、企業規模や経営状態、従業員構成等により、これらを全て行わなければならないとは限りません。これらのうち、各企業の状況に応じて行える措置を行うこととなります。
この「行える措置」とは、行わなくて良いということではなく、経営実態から行っても機能しないものや行うことによって企業がたちゆかなくなるものについては行うことができないため、行えるものを行うという意味です。例えば、業務の特殊性からワークシェアリングが行えない場合や、派遣社員を雇止めして正規労働者を雇う事により人件費が増加することが不合理である場合等です。しかし、行うことが可能なことを行っていない場合は、解雇権の濫用とされる可能性が高くなります。
会社側が解雇回避のために真摯に判断・選択した合理的措置を尽くした上での解雇の場合は、解雇もやむなしとの判断がされる可能性が高くなりますが、解雇を行うには十分な注意が必要です。




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2011.9.12


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