早期退職優遇制度を設けるにあたって、承諾条件を付ける場合の注意点は?
早期退職優遇制度を設けるにあたっては、従業員の不利とならないように4つの要件に注意する必要があります
早期退職優遇制度は、定年退職の年齢になる前の労働者に対し、一定の条件のもと通常の退職金のほかに割増金を支給する等の優遇措置を行う制度です。優遇内容は、退職金の割り増しをされる事が多いですが、各企業で自由に定めて構いません。
このような優遇措置を設けて定年前の従業員に退職していただくことにより、従業員の年齢構成を改善し、企業の活性化を図ったり、雇用調整を行ったり、高齢の従業員であるための賃金の高額化を回避するなどの効果を求めるものです。

この早期退職優遇制度の適用に際しては制限を設けて良いのかどうかという問題がありますが、例えば年齢等客観的な理由で制限を設けることや、業績の悪い部門の閉鎖(譲渡)に伴ってその部門の従業員に限定するなどについては問題ありません。
また、その範囲内で優遇措置の対象とするかどうかについて会社の承認を条件とする事自体も、一般的には可能とされています。

しかし、早期退職優遇制度を設定するにあたっては、従業員(労働者)に不当なものとなってはなりません。一般的には、以下の要件に注意する必要があります。
1.適用対象となるかどうかが明確かつ具体的であること
2.会社の承認条件に明確な根拠があること
3.早期退職優遇制度を制定したこととその内容を従業員に周知すること
4.従業員自身が決断するのに十分な時間があること

会社の承認条件としては「会社が認める者」だけでは不十分と考えられます。会社の恣意的な判断によるものであると認識されるような条件は好ましくありません。従業員に残されている選択の余地が少ないほど、従業員の利益・権利に配慮する必要があります。
また、十分な時間としては、1ヵ月(30日)程度は考慮する必要があるでしょう。

労働者にとっては職を失う事には違いありませんので、十分な注意を持って対応される必要があります。




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2011.8.16


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