「働き方改革」とは?(1)
 今、労働に関わることとしてすぐに話題に上がることは「働き方改革」ではないかと思います。しかし、その「働き方改革」とは何なのかが、よくわからなくなっていませんでしょうか?もし、働き方改革=残業時間の短縮とお考えなら、ちょっと立ち止まっていただきたいように思います。

 「働き方改革」は、「働き方」と言いながらそれを議論する働き方改革実現会議は、厚生労働省ではなく首相官邸に置かれています。その働き方改革実現会議で掲げられている働き方改革の実現のための課題は大きく3つに分けられています。
 1. 処遇の改善(賃金など)
 2. 制約の克服(時間・場所など)
 3. キャリアの構築
 労働時間の短縮は、このうち?に含まれるごく一部のテーマでしかありません。昨年、電通での痛ましい事件が発覚し報道でも大きく取り上げられましたので重視されるケースも多いでしょうし、自社があのように叩かれたら怖いと思われるのも当然のことと思います。しかし、「働き方改革」は、時短だけが目的ではないことはご理解いただいた方が良いように思います。

 一つめの課題「処遇の改善」としては、まず「非正規労働の問題」が出ています。日本では一般的に、所謂「正社員」という働き方がメインの働き方で、パートタイマーや有期雇用、派遣労働などの働き方は正社員を補完する働き方であると考えられています。しかし、非正規労働者の給与額が低いことが問題となっており、この問題に対しては「同一労働同一賃金」という考え方が導入されています。今後は、パートだからというだけの理由で給与額を低くすることができなくなってくるだろうと思われます。また、「非正規労働者からの正社員化」も対象となっており、今年4月から本格施行される無期転換ルールもそのうちの一つとして取り上げられています。
 また、「賃金(給料)の引き上げ」と「生産性向上」も処遇の改善の一つとしてセットで取り上げられています。
 この「賃金の引き上げ」については、最低賃金の引き上げや下請等中小企業の取引条件の改善が検討されています。最低賃金については、全国加重平均として1,000円を目指すこととなっていますので、今までも引き上げられてきていますが今後も上がり続け、都市部では1,000円を超えることとなると思われます。これは、直接雇用している従業員だけではなく、下請けなどへの取引条件も改善させることが検討されています。
 「生産性向上」については長時間労働削減と並んで大きなポイントとして報道されていることは、ご存知のことかと思います。しかし、この生産性向上が賃金の引き上げとセットの施策であるとご存知の方は少ないのではないでしょうか。生産性向上は、決して人件費削減のための施策ではないことは認識されるべきと思います。また、労働時間の短縮とは別建てであることもご注意いただきたいポイントです。

 長くなりますので、一旦切ります。続きは「働き方改革」とは?(2)をご覧ください。
2018.1.23



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